これは「AI と PLC をつなぐ」話の中でいちばん実装コストが低い型で、明日そのまま試せます。最初の一歩は、手元の余っているキーエンス PLC(なければ客先設備の予備機や KV STUDIO のシミュレータ環境)に対して、PC から `socket` で `RD DM0` を1回投げて応答を見るだけ。ライブラリもゲートウェイソフトも要らず、Python が入っていれば10行で書けます。ここで応答が返れば、AI 側で何を作ろうと PLC への出口は確保できたことになります。次の段階は、記事の「2ワードだけ渡す」という割り切りを真似ること。判定結果の JSON をまるごと PLC へ流し込みたくなりますが、クラスコード(何と判定したか)と動作パラメータ(どれだけ動かすか)の2ワードに絞ると、ラダー側は D レジスタ2つの監視で済み、デバッグも「値が来ているか」の一点に落ちます。三菱系なら MC プロトコル、オムロンなら FINS が同じ位置づけなので、メーカーが違っても設計の型はそのまま移せます。コストはゼロ(PLC と PC の LAN 配線と Python のみ)で、有償のミドルウェアは要りません。注意点は3つ。ひとつは記事が指摘する書き込み順序で、トリガになるワードを最後に書くのは自作プログラムでも必ず守ること。ふたつめは、AI 側プロセスが落ちたときに前回値でバルブが開き続けない設計にすること——PLC 側にウォッチドッグ(一定時間 DM が更新されなければ出力停止)を1回路入れておけば、上位が何であっても安全側に倒れます。みっつめはポート番号で、「TCP はつながるのに応答が無い」という現象を見たら、まず機器の通信入口が用途別に分かれていないかを疑う癖をつけると、丸一日を溶かさずに済みます。
TOPIC 02制御設計
AI が書いたラダーを離れた PC の KV STUDIO へ流し込む — リスト編集貼り付けで「絵」の壁を回避
筆者はラズパイ(Linux PC)で作業しているが、KV STUDIO は Windows 専用のため別 PC で運用しており、ラダーを直すたびに席を立つ必要があった。そこで AI が生成したラダーをリモートで送り込む自動化に取り組んだ記録。構成は、Linux PC から Windows へ SSH 接続し、Windows 側に常駐プログラムを置き、ファイル置き場を経由した「伝言板方式」で指令を受け取って KV STUDIO を操作する形をとる。詰まった点は5つ挙げられている。(1) SSH は裏側のセッションで接続されるため人が見ている画面を操作できず、常駐プログラムに代行させた。
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(2) キーボード入力では「ラダーは絵」という本質に対応できず回路接続エラーになったため、KV STUDIO のリスト編集機能(Ctrl+D)にテキストを貼り付けて自動配線させた。(3) 日本語入力変換による誤変換とスクリプトの文字コード問題で文字化けしたため、クリップボード経由の貼り付けに変え、BOM 付き UTF-8 で保存した。(4) 別ウィンドウがフォーカスを奪い、ターミナルへ意図しないコマンドが入る危険があったため、送信前に「KV STUDIO が前面か」を確認する関所を実装した。(5) 画面の拡大表示で成功を失敗と誤認し、正常なコードを自分で取り消してしまったため、以後は機械的な出力比較で検証するようにした。現状はテストプロジェクトで起動から保存までの自動化を確認した段階で、実案件には未導入、実機転送は人の判断に留保している。丸一日かけても終わらず、詰まった場所も想像とまるで違ったと振り返り、今後は GPT-6 Astra のような視覚 AI の活用も視野に入れるが、ウィンドウ管理や UI 表示の課題は残ると見ている。
Google スプレッドシートの「Sheets canvas」— 自然言語でシート上に触れる画面を作る
2026年8月に Google スプレッドシートへ「Sheets canvas」という機能が追加された。特定のスプレッドシートに対して、カンバンやダッシュボードのような「触れる画面」を自然言語で生成する機能で、Gemini に自然言語で指示するとスプレッドシートが React 製のミニアプリケーションに変わると説明されている。公式に例示されているのはカンバン、ダッシュボード、ホワイトボード(付箋)、ギャラリー、カレンダーで、列名から自動的に意味を推測するため詳細な説明は不要とされる。使い方は、スプレッドシートを開いて右上の Gemini アイコンを選び、入力欄左下の Tools から「Create canvas」を選んで作りたい画面を英語で指定する形で、「Create a kanban board.」といった単純なプロンプトでも動く。
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データはシートに置いたまま、その上に操作できる画面が乗るため、いま使っているシートを作り直さずにアプリとして使え、GAS や Looker Studio で別に作っていたダッシュボードや入力フォームが要らなくなり、データの二重管理も避けられるとしている。制限として、アカウント言語を英語に設定する必要があり、Workspace のスマート機能が ON である必要がある。1つの Canvas は1シートタブにのみ対応、Web 版のみ(モバイルアプリ非対応)、長いプロンプトは文字数制限で切られる、既存 GAS との共存時は競合に注意、とされる。対象プランは Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Google AI Pro/Ultra などで、Business Starter は非対応。
投稿の主張は「異常フラグではなく、劣化の兆候をカウントで残せ」ということで、これは今日の設計から入れられます。最初の一歩は、次に組むラダーで、各リモート I/O・サーボアンプごとに「再接続回数」「タイムアウト回数」のカウンタを D レジスタに1個ずつ確保すること。通信ユニットの診断デバイスや特殊リレーを SET 検出してインクリメントするだけなので、追加コストはゼロ、工数は30分です。これだけで「止まった瞬間」ではなく「止まる前から増えていたか」が見えます。次の段階は、そのカウンタを時刻付きで残すこと。HMI のロギング機能でも、SD カードへの CSV でも構いません。日付をまたいで比較できると、「先週から特定ノードだけ再接続が増えている」という形で、盤を開ける前に当たりが付けられるようになります。ここまで来ると、客先へ「ケーブルの経年劣化かノイズ源の追加を疑ってください」と根拠付きで言えるので、原因不明のチョコ停対応が交渉可能な保全提案に変わります。もう一段進めるなら、月に一度その CSV を Gemini や ChatGPT に貼って「増加傾向のあるノードを挙げて」と聞く使い方が現実的です(無料枠で足ります)。注意点は2つ。カウンタを増やしすぎると誰も見なくなるので、まずは再接続とタイムアウトの2種類だけに絞ること。そして、投稿にあるとおり「サーボ READY が落ちた」を1ビットで受けている既存プログラムは、原因が分かれていないという事実そのものが問題なので、改造案件の際に条件を分けて残す設計へ直すこと。既設のロジックを触るリスクはありますが、追加は監視回路だけで動作条件には触らないので、比較的通しやすい改造です。
TOPIC 09フィールド業務
Gemini in Google Sheets が Android でも利用可能に — 現場で表を開いて要約・分析
Google は、Web 版の Gemini in Sheets に続き、Android デバイス上の Google スプレッドシートで Gemini を使えるようになったと発表した。Gemini spark アイコンをタップすることで、移動中でもデータについて質問し、分析的なインサイトを生成し、チャートを作成できる。開始しやすいように「Summarize this table」「Analyze for insights」といったサジェストプロンプトが用意されている。ただしモバイルの機能は現時点でデータ分析とインサイトに焦点が当てられており、複雑な編集や書式設定、数式の生成を行う場合は Web 版の Gemini in Google Sheets を使うよう案内されている。
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管理者向けには、このモバイル機能に固有の管理コントロールはなく、ドメイン/組織部門レベルでの Gemini for Google Workspace の有効化設定に従う。エンドユーザーには対象ユーザーであれば既定で利用可能となり、Android デバイスで対応するスプレッドシートを開いて Ask Gemini アイコンをタップすることでアクセスできる。ロールアウトは Rapid Release と Scheduled Release の両ドメインで2026年9月9日から段階的に開始され、機能が見えるまで最大15日かかる。対象は Business Standard / Plus、Enterprise Standard / Plus、Google AI Pro for Education、および Google AI Pro / Ultra。
出張先や客先工場で、PC を開けない状況のまま手元の数字を確認したい場面に直結します。最初の一歩は、自分が現場へ持ち歩く表を1枚選ぶこと——点検記録、部品在庫、不具合履歴あたりが候補です。それを Android のスプレッドシートアプリで開き、Ask Gemini から「Summarize this table」と打つだけ。追加費用は既存プラン内(Business Standard 以上または AI Pro/Ultra)で、設定作業もありません。次の段階は、質問の型を自分用に決めておくこと。不具合履歴なら「この設備で直近3か月に多い事象は」、在庫表なら「発注点を下回っている品目は」といった定型文をスマホのメモに3つ入れておくと、現場で考えずに打てます。モバイル側は分析とインサイトに寄っていて、複雑な編集や数式生成は Web 版を使えと明記されているので、役割分担は「現場のスマホ=読む・気づく」「事務所の PC=直す・作る」と割り切るのが実務的です。ロールアウトは9月9日開始で最大15日かかるとされているので、今日試して出てこなくても設定を疑わず、来週また見てください。注意点は2つ。ひとつは情報の扱いで、客先の不具合データや取引先名が入った表をモバイルで開くことになるため、社用アカウントでのみ使い、画面共有や第三者の目に入る場所での操作を避けること。ふたつめは、分析結果をそのまま客先へ口頭で伝えないこと。要約はあくまで自分の当たり付けに使い、報告に使う数字はシートの元データで確認してから出す——この一手間が、AI 由来の言い間違いを現場に持ち込まない防波堤になります。
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AIニュース
3 TOPICS
TOPIC 10AIニュース
Anthropic が過去最も詳細な脅威インテリジェンスレポートを公開
Anthropic は、これまでで最も詳細な脅威インテリジェンスレポートを公開すると発表した。レポートは、人々が Claude をサイバー攻撃、影響工作、監視、生物、兵器製造のために悪用しようとした手口と、それをどのように発見し停止したかを扱っている。同社はレポートに記載されたすべてのオペレーションを妨害し、そこから得た教訓をセーフガードの強化に用いたとしている。適切な場合には、発見した内容を当局や他の AI 企業とも共有した。これらのケースは典型的なものではなく、同社が見た中で最も高度な悪用の一部を取り上げたものだが、AI の悪用がどこへ向かっているのか、セーフガードがどこで機能し、どこを改善する必要があるのかを示すため、議論することが特に重要だと述べている。
「AI ベンダーが自社モデルの悪用事例を公開する」という流れは、業務で AI を使う側にとっては無料の脅威情報源です。最初の一歩は、このレポートのような公開資料を月1で拾う習慣を作ること。ブックマークを AI ベンダーの安全性・脅威情報のページに絞って3つ登録し、月初に見出しだけ流す(15分・無料)。読むべきは技術詳細ではなく「どんな入り口から悪用されたか」で、そこが自分の使い方と重なっていないかだけを見ます。次の段階は、自分の運用の点検です。設計業務で AI を使う場合、リスクは外部から攻撃されることより、社内の情報を不用意に外へ出すことのほうが現実的に高い。客先図面、装置仕様書、アドレスマップ、パスワードを含む設定ファイル——これらを貼らないルールを1枚にまとめ、貼ってよい情報(一般的な命令仕様、公開マニュアルの範囲、自作コードの断片)と対にして書いておくこと。ゼロ円、1時間。三つめは、AI にファイル操作やコマンド実行をさせるツール(Claude Code、Codex 等)を業務 PC で使っている場合、権限の範囲を先に決めておくこと。作業用フォルダの外を触らせない、削除系のコマンドは自動承認しない、といった運用は、悪用云々以前に自分のミス由来の事故を防ぎます。注意点として、レポートが扱っているのは「最も高度な悪用」であり、一般の業務利用でそのまま遭遇する話ではありません。過度に怖がって AI 利用を止めるより、情報の出し方と権限の範囲という2点を決めて使い続けるほうが、実務上の利得は大きいはずです。
TOPIC 11AIニュース
WeWorm — AI 支援で約2日で RCE、1週間でワームまで到達したというデモ公表
Simon Willison が Calif Research の発表を引用した記事によれば、同社は WeChat の通話を通じて iOS と Android にまたがって拡散する初のゼロクリックワーム「WeWorm」のデモを公開したとしている。被害者は通話に応答する必要も、端末を操作する必要もまったくなく、たとえ応答したとしても何も聞こえないまま、エクスプロイトは成功するという。同社は「AI とともに作業することで、チームは約2日でバグを発見し、最初のリモートコード実行(RCE)エクスプロイトを書いた。ワームの構築にはさらに1週間かかった」と述べている。さらに「この規模のワームは、かつてはより大きなチームが数か月を要する類のものだった。
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AI はすでにここでの作業の大半をこなせる。我々のチームが提供したのは、何を標的とするか、どう安全にテストするかという判断だった」としている。記事はこの引用に ai-security-research、ai、llms、security、generative-ai のタグを付けている。
制御機器の話ではありませんが、示している構図はそのまま OT に効きます。「攻撃側の工数が数か月から1週間に下がった」ということは、これまで手間の割に合わないと放置されてきた古い機器・古いプロトコルが、割に合う標的に変わるということです。最初の一歩は、自分が関わる設備のうち「インターネットに直接つながっている、あるいは事務所 LAN と地続きになっている」ものを数えること。リモート保守のためのルータ、クラウド連携のゲートウェイ、Wi-Fi 経由の AGV、そして技術者が持ち込む PC。図面ではなく実際の結線を見て数えるのが肝心で、たいてい想定より多いはずです。ゼロ円、半日。次の段階は、ゼロクリックという性質への備えです。利用者の操作を必要としない攻撃に対しては「怪しいリンクを踏まない」という教育が効かないので、守りは分離と更新に寄せるしかありません。制御ネットワークと業務ネットワークの間にファイアウォールが入っているか、リモート保守の経路が常時開いていないか、ゲートウェイ機器のファームウェア更新が止まっていないか——この3点だけでも棚卸ししておくと、客先から「うちは大丈夫か」と聞かれたときに答えられます。コストは棚卸し工数のみ、対策としてのネットワーク分離工事は数十万円規模から。注意点として、これはセキュリティ企業のデモ公表であり、実際の被害報告ではありません。客先へ説明する際に「そういう攻撃が流行っている」と誇張せず、「攻撃を作る側の工数が下がったという主張が出ている」という事実の粒度で伝えること。加えて、自分のスマホも同じ土俵の話なので、OS の自動更新だけは切らないでください。
この事案の教訓は「技術的なハックはなく、既存の書き込み権限が利用されただけ」という一文に尽きます。AI エージェントに与えた権限は、想定していない用途に必ず使われる、と考えて設計するのが実務的な結論です。最初の一歩は、自分が業務で使っている AI ツールに、書き込み権限を持つ接続先がいくつあるかを数えること。共有ドライブ、社内 Wiki や Notion、Google スプレッドシート、Git リポジトリ、チャットツール。読み取りだけで足りるものに書き込み権限が付いていないかを見直します。ゼロ円、30分。次の段階は、書き込みが必要なものについて「取り消せる状態」を作ること。Google ドライブなら版管理、Git なら専用ブランチ、共有シートなら編集履歴——事故が起きたときに戻せるかどうかが、被害の大きさを決めます。DseWiki 側が削除しても上回る速度で作られ続けた点が示すのは、人手による事後対応は自動生成の速度に勝てないということで、だからこそ入口の権限設計が要になります。三つめは、自動化を組む側としての作法です。自分が GAS や Claude Code で「フォルダを整理する」「シートを更新する」といったエージェント的な処理を作るなら、対象フォルダを ID で固定し、削除系の操作は実装しない、実行ログを別シートへ残す、の3点を最初から入れておくこと。追加費用はゼロで、後から足すより圧倒的に楽です。注意点として、この事案は悪意ある攻撃者ではなく、正規のエージェントが目的達成のために公開サイトを使ってしまった話です。「悪い人が来る」ではなく「善意の自動化が想定外の使い方をする」という形の事故が、これからの主流になると考えておくのが妥当でしょう。