AI × FA ダイジェスト FRIDAY

2026年10月23日

制御設計・フィールド業務・AIニュースの動きを、ひとつに。

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制御設計03フィールド業務03AIニュース02
A

制御設計

3 TOPICS
TOPIC 01制御設計

三菱電機、「Nozomi Arc」の拡張機能として産業機器上のOTセキュリティーを開発

三菱電機は2026年10月22日、産業機器上でOTセキュリティーを実現する新しいソリューションを開発したと発表した。2026年1月に完全子会社化した米国Nozomi Networks, Inc.(Nozomi)が有するOTセキュリティー技術を活用するもので、本ソリューションは悪意のあるエンドポイントを検知し防御するホストベースのセキュリティーセンサー「Nozomi Arc」の拡張機能として、2027年度中の提供開始を予定している。内容は、「Nozomi Arc」の監視機能を同社が提供するコントローラ製品をはじめとした各種産業機器に搭載し、USBモニタリングやマルウエア検知・隔離・削除、ソフトウエア管理を行うことで、産業機器やそれらを搭載する装置に対する製品セキュリティーを強化するというもの。

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さらにNozomiのOT/IoT資産可視化・脅威検知ソリューションとの連携により、個々の産業機器・装置からOT環境全体の状態や通信を一元的に可視化し、早期の異常や脅威検知を可能とするとしている。背景として発表は、製造業や社会インフラ分野のIoT化・DX化の進展と、欧州のCRA(Cyber Resilience Act。2026年9月から一部義務化され、2027年12月に全面適用される予定)をはじめとする法令・規格への対応が求められる状況を挙げ、多種多様な設備・機器が混在し個々の状態や通信、異常な挙動を把握することが困難なOT環境では産業機器を起点としたサイバー脅威への対応が課題だと説明している。今後は本ソリューションを同社のさまざまなOT機器へ順次搭載し、各種産業機器・装置メーカーへも広く提供するという。なお、本ソリューションを搭載した製品の第一弾は「JIMTOF2026」(10月26日~10月31日、於:東京ビッグサイト)に参考出展するとしている。

情報源
三菱電機 ニュースリリース (2026/10/22) / 出典を読む
+TAKE IT TO THE FIELD現場での活用アイデア

最初の一歩は、提供開始を待つ前に「自分が担当した制御盤のうち、USBメモリが差される運用が残っているのはどれか」を棚卸しすることです。GX Works3のプロジェクトを納めた客先ごとに、PLCへのプログラム書き込み手段(USB直結/Ethernet経由/保守PC持ち込み)と、その保守PCがインターネットに繋がるかを1行ずつ表にします。これは今日から無料でできて、しかもこのソリューションが刺さる客先の見極めにそのまま使えます。次の段階は、USBモニタリングとマルウエア検知が「機器側に載る」という前提で、既存の運用手順書を書き換える準備です。具体的には、検知時に誰へ通知が飛び、ラインを止めるのか止めないのかを、客先の生産技術と事前に決めておく欄を手順書に追加します。検知機能が入った瞬間に「アラートは出たが誰も止める権限を持っていない」状態になるのが、現場で一番詰まるところです。コスト感は、提供開始が2027年度中なので今期の設備投資には乗りません。一方で棚卸しと手順書の下書きは自分の工数だけ(数時間規模)で済むので、先に無償分を終わらせておくのが得です。注意点として、第一弾はJIMTOF2026への参考出展であり、搭載製品の型番や価格は本発表に書かれていません。客先へ提案するときは「2027年度中の提供開始予定の拡張機能」という段階どおりに伝え、確定した製品として説明しないこと。JIMTOFに行けるなら、参考出展を見て「自分の担当機種が対象になりそうか」だけ担当者に直接聞いてくるのが、資料を待つより早いです。

TOPIC 02制御設計

Siemens、NVIDIAとの協業成果を公表 — 設計ツール立ち上げ5分未満、生産計画でコスト最大20%削減

Siemensは2026年10月22日(ミュンヘン)、NVIDIAとの協業で Industrial AI を前進させる新製品と、共同プロジェクトから得られた測定可能な成果を公表した。CESで協業を拡大してから10か月後の発表にあたる。チップ設計では、SiemensのEDA(electronic design automation)ツールとNVIDIAのAIインフラを使うAIエージェントが複雑な設計タスクを自動化し結果を検証する。最新の適用先は電気・熱解析で、AI駆動のelectrothermalワークフローは複数ツールのセットアップを数日から5分未満へ短縮し、手作業の手法に比べて50倍の設計探索を可能にするという。

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AIファクトリー向けには、Siemens・NVIDIAとエコシステムパートナーが「NVIDIA DSX Vera Rubin Reference Design」を米国および欧州市場へ投入した。SiemensとDeltaが共同設計した工場試験済みのプリファブ電力モジュールは、データセンターのtime to marketを最大50%短縮できるとしている。エンジニアリングでは、Simcenterのシミュレーションソフトウェアに NVIDIA accelerated computing と NVIDIA CUDA-X ライブラリを組み合わせ、対応するシミュレーション処理が最大10倍速くなる。このパッケージはインターネット接続なしで動作し、機密データを現地に留められるとしている。Simcenter PhysicsAI はシミュレーションデータで学習したモデルを使い、従来のシミュレーションに比べ最大1,000倍速く設計性能を予測する。製造では、Erlangenのエレクトロニクス工場を adaptive manufacturing の雛形とし、生産タスクを調整し品質検査を準備するAIアプリケーションを開発・パイロット実施した。NVIDIA Factory Operations Blueprint(FOX)で構築したAIエージェントが、ERPと現場から集めたデータを使って生産計画を調整・最適化し、コストを最大20%削減できるとする。自動外観検査では Process Preparation X が Siemens の Digital Twin と NVIDIA Cosmos Data Factory で学習データを生成し、物理試作を作る必要という品質検査準備のボトルネックを解消して time to market を最大40%短縮する。Digital Twin Composer(NVIDIA Omniverse ライブラリで構築)は仮想工場モデルを実際の運用データへ接続し、初期の顧客導入ではスループットが20%向上したとしている。

情報源
Siemens Press (2026/10/22) / 出典を読む
+TAKE IT TO THE FIELD現場での活用アイデア

この発表はSiemensのEDA・Simcenter・Omniverse前提の話なので、そのまま買う提案にはなりません。最初の一歩は「数字の作り方」を自分の仕事に移すことです。注目すべきは『複数ツールのセットアップを数日から5分未満へ』という部分で、これは解析そのものの高速化ではなく段取りの自動化です。自分の設計業務で同じ構造の無駄を探します。たとえばGX Works3のプロジェクト新規立ち上げで、ラベル表の雛形コピー、デバイス割り当て、通信設定、コメント流し込みを毎回手でやっている時間を実測してください。15分×年間20案件なら5時間、ここが自分版の「数日→5分未満」になります。次の段階は、その段取りをCSVとテンプレートに切り出し、生成AIに「この命名規則表のとおりにラベルCSVを生成して」と頼む形へ置き換えることです。ChatGPTやGeminiの無料枠で今日試せます。コストはゼロから始められ、効果が出たら有償プラン(月3,000円前後)に上げる判断で十分です。もう一段先として、『インターネット接続なしで動作し機密データを現地に留められる』という設計思想は客先提案でそのまま効きます。工場のAI案件が止まる理由の大半は「図面と稼働データを外に出せない」ことなので、オンプレ/ローカル実行という選択肢があることを知っているだけで会話が前に進みます。注意点は、記事中の50倍・1,000倍・最大20%といった数値がすべてSiemens・NVIDIAの組み合わせでの成果であり、別のツール構成に持ち込める保証はないことです。客先には「他社でこういう測定値が出ている」という事例として引用し、自社設備での効果として言い換えないでください。

TOPIC 03制御設計

GASからCloud Run Sandboxesを呼ぶ構成 — サーバー実行200〜450ms・待機コスト0円で帳票処理を拡張

2026年10月22日公開の技術記事が、Google Apps Script(GAS)から Google Cloud Run Sandboxes を直接呼び出してGASの制約を拡張する実践手法を解説している。仕組みは、スプレッドシートなどの裏で動くGASがGoogle Cloud上のCloud Run(第2世代インスタンス)へHTTP POSTリクエストでコードを文字列として送り、受け取ったCloud Runが内部でgVisorマイクロサンドボックスを瞬時に作ってPythonやBashなどを実行し、結果だけをGASへ返す形。コンテナイメージの再ビルド・再デプロイをせずにGAS側から処理内容を変えられる点、稼働中のコンテナ内部でサンドボックスを複製(フォーク)するためサーバー実行時間が200〜450ミリ秒で済む点、`--min-instances=0` 設定により待機維持コストが発生せずAlways Free枠と組み合わせて維持費$0.00となる点が特長として挙げられている。

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障害耐性については、オフロードしたスクリプトがメモリ破壊や無限ループを引き起こしてもgVisorがその子プロセスだけを隔離・強制終了(SIGKILL)し、親のCloud Runサーバーは影響を受けずGASへタイムアウトのJSONエラーを返すと説明する。また数千行の表データやバイナリを標準HTTPペイロードで直接転送できるため、LLMのコンテキスト制限やトークンクォータ(200k TPM)を消費しないとしている。実演では、15行・5変数の成績データを新規スプレッドシートから読み出してCloud Run Sandboxesへ送り、pandas・matplotlib・seabornで相関行列を計算して高解像度ヒートマップPNGをBase64で返し、GASがBlobに戻してシートのH列2行目へ埋め込むまでの全パイプラインが約9秒(サーバー計算時間4.16秒)で完了した。実行には appsscript.json に spreadsheets と drive のOAuthスコープ設定が必要で、セットアップ手順やワンクリックデプロイスクリプトはGitHubリポジトリ `tanaikech/cloud-run-sandbox-gas` で公開されている。

情報源
Zenn(Google Cloud Japan Publication) (2026/10/22) / 出典を読む
+TAKE IT TO THE FIELD現場での活用アイデア

これは制御設計の付随業務、とくに「スプレッドシートに貯めた測定値から図を作る」工程に直接刺さります。最初の一歩は、GitHubリポジトリのワンクリックデプロイスクリプトでCloud Run側を立てて、GASから `2**32` のような一行計算を投げて戻り値が返ることだけ確認することです。Googleアカウントがあれば今日できて、待機コストは0円、個人の試用なら無料枠で収まります。次の段階は、自分が毎回手で作っているグラフを1本だけ移植します。候補は、立ち上げ時に取るサーボのトルク波形や温度ログのばらつき比較で、matplotlibの散布図+移動平均くらいなら数十行です。GAS単体ではこの描画ができず、結局Excelに貼り直していたのが、シート上で完結するようになります。その次が本番で、客先ごとに違う集計ロジックを「Cloud Run側を触らずGASから送るコード文字列だけ差し替える」形にします。再デプロイ不要という性質は、客先が増えるほど効きます。コストは、日常的な集計なら無料枠の範囲、超えてもCloud Runの従量課金で月数百円規模の想定です。注意点を3つ。1つ目、OAuthスコープに drive を含めるので、業務アカウントで動かす前に社内のGoogle Workspace管理者へ確認してください。2つ目、記事の構成はgVisorでSSRFや外部通信を遮断する前提で作られています。隔離が効いている=顧客データを置いていい、ではないので、図面や客先名を含むデータを渡す前に利用条件を社内で確認すること。3つ目、サンドボックス内で動くのはあくまで決定論的なプログラムです。AIに毎回考えさせたい仕事とは使い分けが必要で、記事もその区別を前提にしています。

B

フィールド業務

3 TOPICS
TOPIC 04フィールド業務

日立、異常検知とAIエージェントを繋ぐフィジカルAIソリューションを開発 — P&IDと保全記録から原因候補まで自動提示

日立製作所は2026年10月20日、プロセス製造業向けに、設備故障の予兆検知とAIエージェントによる設備故障診断を連携させるフィジカルAIソリューションを開発したと発表した。プラントでの異常の検知から、具体的な故障要因の特定、最適な処置方法の提示までを一連のプロセスとしてつなぎ、突発停止の未然防止と保全業務の効率化を支援するものだという。構成は2つのシステムの組み合わせで、1つは日立ハイテクソリューションズのプロセス挙動解析システム「BD-CUBE」による異常検知、もう1つは日立の次世代ソリューション群「HMAX Industry」のラインアップの1つである設備故障診断AIエージェント「現場サポートAIナビ」で、この2つをリアルタイムに連携させて検知と故障診断を融合させる。

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具体的な流れは、まず「BD-CUBE」が温度・圧力・流量などのプロセスデータから「いつもと違う状態」を捉えて異常スコアなどのアラートを出し、このアラートをトリガーとして「現場サポートAIナビ」へ自動で連携する。続いてAIエージェントが、受け取ったタグ情報と、配管計装図(P&ID)などの設計図面、過去の保全記録を組み合わせ、原因候補と対応案を自動で提示する。日立は最大の提供価値として、属人化の解消による「高度な安定操業」と「保全業務の抜本的な効率化」を挙げており、異常の察知から原因の特定、対策案の策定までを自動で完結させることで、これまで熟練技術者の経験や勘に頼ってきたアラート発生後の診断プロセスを標準化し、初動の遅れが招く突発停止のリスクを減らす狙いだとしている。あわせて原因究明や対応策の検討にかかる時間を短縮して現場の業務負荷を軽くし、人手不足の中でも限られた人員で迅速かつ質の高い設備保全の体制を維持できるようにするという。

情報源
ロボスタ (2026/10/20) / 出典を読む
+TAKE IT TO THE FIELD現場での活用アイデア

この構成の本質は、AIモデルの精度ではなく「アラートに図面と過去履歴を自動で紐づけた」ところです。客先工場での不具合対応をやっている立場なら、ここは買わずに真似られます。最初の一歩は、自分が面倒を見ている設備1台について、PLCのアラームビット(デバイス番号)と、そのアラームが指す機器名・系統・図面上の記号を対応させた表を作ることです。GX Works3のコメントを引けば半分は埋まるので、1設備あたり1〜2時間。これだけで、夜中に電話が来たときに「M120って何だっけ」を探す時間が消えます。次の段階は、その対応表と過去のトラブル対応記録(メール・報告書)をテキストにまとめ、生成AIへ「このアラーム番号が出たとき、過去に何が原因だったか」を検索させる形にします。無料枠のChatGPTやGeminiで、まず自分の手元1案件から試せます。注意したいのは、精度ではなく「言い切らせない」運用にすることです。日立のソリューションも提示するのは原因候補と対応案で、AIが確定させる形ではありません。自分で作る場合も、出力は候補リストに留め、現場で確認する順番(どのインターロックを先に見るか)を人が決める形にしてください。コストは、対応表づくりが自分の工数だけ、AI利用は無料枠〜月3,000円前後。一方、BD-CUBEと現場サポートAIナビの導入は客先プラント側の投資になるので、この記事は「客先の保全部門に話を持っていくネタ」として使うのが現実的です。プロセス製造業向けの発表なので、組立・加工ラインの客先へそのまま当てはめて説明しないほうが安全です。

TOPIC 05フィールド業務

レンゴーとキリンビールの工場安全DX — 約4000枚の再学習でAP 0.42→0.79、AIカメラで設備にインターロック

MONOistが2026年10月22日、「ファクトリーイノベーションWeeK 2026秋」(2026年9月9~11日、幕張メッセ)の特別講演「【工場の安全対策】AI/デジタルICTで従業員の安全を守るには」の内容を抜粋して紹介した。登壇したのはレンゴー パッケージング部門 技術開発本部 技術開発第一部 技術開発課長の藤岡寛史氏と、キリンビール 生産本部技術部 主査の宮浦直人氏。レンゴーは2024年3月からAIカメラを安全対策として現場に導入したが、当初使用していたAIカメラではコンベヤーの一部を人と認識するなどの誤検知が発生し、他工場展開には性能面の不満が残った。そこで新たに採用したのが西日本旅客鉄道(JR西日本)が開発するAIカメラ関連技術で、レンゴーは自社工場の機械や人の作業姿勢などを撮影した約4000枚の画像でAIモデルを再学習させ、精度を示すAP(Average Precision)を0.42から0.79へ向上させた。

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評価に使用した映像は再学習用データには含まれていないという。重要な点として記事は、レンゴーがAIカメラを単なる「監視」にとどめず、人を検知すると生産設備にインターロックをかける使い方にしていること、2026年9月からは誤検知による停止が大きな生産ロスにつながる設備にも対象を拡大したことを挙げる。藤岡氏は「FAの現場で使っていくには、検知漏れがないことはもちろんだが、それ以上に誤検知をしないことが最大のポイントになる」と述べ、AIカメラは既存の安全機器と置き換えるのではなく従来は検知できなかった領域を補う「足し算」の位置付けだと説明した。さらに次の技術としてVLM(Vision Language Model)の活用も検討しており、2027年頃から安全対策以外も含めVLMを製造現場で活用する実証実験を始めることを検討しているという。キリンビール側は、情報活用基盤の整備からオペレーションの無人化まで10項目のデジタル施策を進めており、カメラ台数の多い工場では400台のカメラを導入し、PLCとも連携して異常アラーム発生時の映像にフラグを立てることも可能だとした。

情報源
MONOist (2026/10/22) / 出典を読む
+TAKE IT TO THE FIELD現場での活用アイデア

制御設計側で今日から効くのは「AIカメラの出力をどう設備に繋ぐか」の設計です。最初の一歩は、自分が担当する装置で人検知信号を受けたときの動作を、ラダー上に3段階で書き分けてみることです。(1) 警報のみ、(2) 当該軸のみ減速・一時停止、(3) ライン全体の安全停止。レンゴーの話は、警報を人が聞き流す前提で設備側を止めたという点が核なので、(1) で終わらせない設計に意味があります。これは紙とGX Works3だけで試せて、費用ゼロです。次の段階は、既存の安全回路との切り分けです。記事のとおりAIカメラは既存の安全機器の置き換えではなく「足し算」なので、非常停止やレーザースキャナーの安全回路には触らず、AIカメラ信号は別系統のインターロック入力として設計します。安全カテゴリの評価に混ぜると話が一気に重くなるので、生産停止用のソフトインターロックとして分けるのが現実的です。3段階目として、客先に提案するなら「約4000枚の自社画像で再学習したらAPが0.42から0.79になった」という数字をそのまま持っていけます。既製のAIカメラを買って終わりではなく、その工場の映像を集めて学習させる工数が必要だという話を、具体的な枚数で説明できるのは強いです。コスト感は、AIカメラ本体とシステムは客先の設備投資(数百万円規模からの案件になりやすい)、一方でラダー側の設計と信号の切り分けは自分の設計工数の範囲です。注意点として、誤検知で止める設備を広げる判断は生産ロスと直結するので、どの設備から対象にするかは客先の生産部門と決めること。記事でもレンゴーは誤検知の影響が少ない場所から始め、2026年9月に対象を拡大しています。またVLMの話は検討段階で、実証実験の開始も検討中とされているので、提案時に実施済みの事例として扱わないでください。

TOPIC 06フィールド業務

「PLCが攻撃されて工場が止まったら誰が責任を取るのか」 — EU CRAの報告義務と責任分界の整理

2026年10月22日公開のnote記事が、英語・ドイツ語の公的資料と実際のPLC攻撃事例をもとに、製造業における責任分界の問題を整理している。攻撃事例として挙げるのは2023年11月に米国の水道施設などでイスラエル製PLC(Unitronics社のVisionシリーズ)を狙って発生したサイバー攻撃で、CISA(米国のサイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁)などが2024年12月に更新した報告書によると、攻撃者は少なくとも75台の機器に侵入し、そのうち34台以上は米国の上下水道分野で使用されていた。手口は必ずしも高度な未知の脆弱性を悪用するものではなく、インターネットに直接接続され初期パスワードのまま、あるいはパスワードが設定されていないPLCが狙われ、攻撃者は不正にログインして制御プログラムであるラダーロジックを削除して別のプログラムに置き換え、さらに機器の設定を変更して運営者が遠隔から正常に接続・復旧することを妨げたという。

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制度面では、EUのCyber Resilience Act(CRA)が2024年12月10日に発効し、2026年9月11日に悪用が確認された脆弱性などの報告義務が適用開始、2027年12月11日にセキュア設計・脆弱性管理・適合性評価などの主要義務が適用開始という二段階になっていると説明する。報告期限は24時間以内の早期警告、72時間以内の初期評価を含む通知、最終報告は悪用された脆弱性については修正・緩和措置が利用可能になってから14日以内、重大インシデントについては72時間通知から1か月以内で、報告にはENISAが運用するSingle Reporting Platform(SRP)が使われる。記事は、単に脆弱性が発見されただけで必ずCRA第14条の強制報告が必要になるわけではなく、悪用の信頼できる証拠や重大インシデントの要件に該当するかが重要だと留保を付けている。責任分界については、PLCメーカーは自社製品の脆弱性管理や適用される報告義務などを負い、完成機械を自社ブランドでEU市場に投入した機械メーカーにも製品全体についてCRA上のメーカー義務が生じ得るとした上で、両者が同じ内容の責任を無条件に負う意味ではないと明記する。またCRAが定める行政上の義務(第13条・第14条などの違反には最大1,500万ユーロ、または前年度の全世界年間売上高の2.5%のいずれか高い額を上限とする行政制裁金の規定がある)と、工場停止に伴う損害賠償責任は別問題だと区別している。

情報源
note(FA・産業機械 生産管理 Thomas Red) (2026/10/22) / 出典を読む
+TAKE IT TO THE FIELD現場での活用アイデア

この記事の使いどころは、法令対応そのものより「客先と自社の間で曖昧になっている部分を先に紙にする」ことです。最初の一歩は、自分が納めた制御盤について次の4点を1枚にまとめることです。(1) 搭載したPLC・HMI・サーボアンプのメーカーと完全な型式、(2) ファームウェアのバージョン、(3) そのPLCが外部ネットワークに繋がっているか(繋がっている場合はどのポートか)、(4) 初期パスワードのまま出荷したものがあるか。記事の攻撃事例はまさに(3)と(4)の組み合わせで成立しているので、ここが埋まるだけで最優先の手当て先が決まります。費用はゼロ、1案件あたり1時間程度です。次の段階は、(4) に該当する案件へ、パスワード変更とポート閉塞の提案を出すこと。客先に「CRAの話」から入ると長くなるので、「初期パスワードのPLCがラダーを書き換えられた事例が米国で起きている」という具体例から入るほうが通ります。3段階目は契約・手順の側です。記事は、事故が起きたときにメーカー・SIer・保守会社・工場運営企業の責任分界が契約や運用手順で曖昧なままだと対応が混乱すると指摘しています。自社の仕様書に「脆弱性情報を受け取る窓口は誰か」「ファームウェア更新の実施判断は誰がするか」「更新後の動作確認は誰が担当するか」の3行を追加するだけでも、後々効きます。コストは、ここまで全部自分の工数内です。注意点を2つ。1つは、CRAはEU市場向けの規則であり、記事も日本の「サイバーインフラ事業者に求められる役割等に関するガイドライン」(2026年3月31日公表)とは法的性質や義務の内容が異なるとしています。EU向け輸出案件かどうかで話を分けてください。2つ目は、記事中のSAP EAMとの連携構想は筆者の考察と明記されている部分なので、確定した実務として客先に説明しないこと。

C

AIニュース

2 TOPICS
TOPIC 07AIニュース

LiteLLM 1.107.0にバックドアと情報窃取が混入 — Pythonを起動するだけで実行、AI開発ツールの認証情報も標的

GIGAZINEが2026年10月22日、複数のAIモデルを簡単に利用できるオープンソースツール「LiteLLM」のバージョン1.107.0に、パスワードなどを盗み出す不正プログラムが仕込まれていたと報じた。問題のバージョンは2026年10月21日にPython Package Index(PyPI)で公開されたもので、セキュリティ企業SafeDepの調査によると、不正プログラムはWindows、macOS、Linux向けに配布された7種類のパッケージすべてに含まれていた一方、LiteLLMの公式GitHubリポジトリに公開されているソースコードには悪意あるファイルが存在せず、正規の開発コードと実際に配布されたパッケージの内容が食い違っていたことが確認されている。

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不正プログラムは「cook.pth」「cook.py」「sitecustomize.py」という3つのファイルで構成され、攻撃者はPythonの起動時に読み込まれる「.pth」ファイルを悪用して情報を盗み出す「cook.py」が自動実行されるように細工していた。このためLiteLLMを使用していなくても同じ環境でPythonを起動するだけで不正プログラムが実行される。情報窃取プログラムはブラウザに保存されたパスワードや閲覧履歴、SSH接続に使う秘密鍵、クラウドサービスの認証情報を収集するように作られており、さらにClaude CodeやCursor、GitHub CopilotなどのAI開発ツールの認証情報や、LiteLLMが管理するAIサービスのAPIキーも標的になっていたという。「sitecustomize.py」には遠隔操作用のバックドアも仕込まれ、1時間ごとにGitHub上のファイルを確認して接続先のサーバーを取得し、情報窃取プログラムを再実行するとともに攻撃者が用意した別のプログラムをダウンロードして実行するようになっていた。LiteLLMの開発チームによると、バージョン1.107.0は日本時間の2026年10月21日20時39分頃にPyPIで公開され約2時間後に削除されたほか、Docker向けの一部イメージにも悪意あるコードが混入していたことが確認されている。開発チームは攻撃者が3人のエンジニアのGitHub認証情報を入手してソフトウェアの公開手順を改ざんしたと説明し、攻撃に使われた認証情報は無効化され問題のパッケージも削除済みだとしている。影響を受けた環境については認証情報が流出した可能性を考慮し、不正なファイルの削除や実行環境の再構築、パスワードやAPIキーの変更を行うよう呼びかけており、不正なファイルを削除する前にPythonを起動すると不正プログラムが再び実行されるため通常のアップデート操作から始めてはいけないとしている。なおLiteLLMは2026年3月にも悪意あるコードが混入する被害を受けている。

情報源
GIGAZINE (2026/10/22) / 出典を読む
+TAKE IT TO THE FIELD現場での活用アイデア

自分でLiteLLMを入れていなくても、この件は読み方を変えると自分の環境に効きます。最初の一歩は、自分のPCに「いつ何のために作ったか思い出せないPython仮想環境」がいくつあるか数えることです。記事の仕組みは、Python起動時に読まれる `.pth` ファイルを悪用して、当該ツールを使っていなくても同じ環境でPythonを起動するだけで動くというものでした。つまり危ないのはツールの利用有無ではなく環境の棚卸し不足です。費用ゼロ、30分で終わります。次の段階は、置き場所の分離です。業務で触る図面・客先データを扱う環境と、AIツールやライブラリを試す環境を同じPC・同じユーザーで混ぜないこと。窃取対象にSSHの秘密鍵、ブラウザ保存パスワード、クラウドの認証情報、そしてClaude CodeやCursorなどAI開発ツールの認証情報が挙がっているので、お試しインストールは使い捨ての環境でやる、という線引きだけで被害範囲が変わります。3段階目として、もし心当たりがある場合の手順は記事の呼びかけどおりにしてください。重要なのは順番で、不正なファイルを削除する前にPythonを起動すると不正プログラムが再実行されるため、普段どおり `pip install --upgrade` から始めてはいけない、とされています。コストは全部ゼロですが、環境の作り直しに半日は見ておくのが現実的です。注意点を2つ。1つは、混入が確認されたのはバージョン1.107.0と、Docker向けの一部イメージです。LiteLLM全体や他のバージョンが汚染されたという話ではないので、社内で共有するときに広げて伝えないこと。2つ目は、公式GitHubのソースは綺麗で配布パッケージだけが汚れていたという構図です。「リポジトリを見たから安全」は成り立たないので、インストール元の配布物そのものを気にする習慣に変えてください。

TOPIC 08AIニュース

デジタル庁、Excelの機械可読性を採点するツール「Harunobu」を公開 — AIに直接直させず整形プログラムを介す手順

デジタル庁は2026年10月21日公開のnote記事で、Excelなどの表形式データの機械可読性を判定するツール「Harunobu」を開発・公開したことを紹介した。記事は、紙に印刷したときにきれいなレイアウトになるようセルを結合したり方眼紙のように行列を細かく配置したExcel(いわゆる「神Excel」)が、人には使いやすい一方でデータ活用を行うシステムやAIにとって使いやすいとは限らず、加工やAIへの説明に多くの時間がかかり「データ利活用の時間の8割はデータ整備に費やす」という事例も少なくないようだと説明する。前提として、行政が公表するオープンデータを対象とした「行政データにおける機械可読性に関するルール」が決定されており、ルール全体は3つのレベルに分かれ、レベル1を満たせば機械にとって閲覧・転記可能、レベル2まで満たせば集計・分析可能、レベル3も満たせばデータ間の横断的な連携や集計・分析の自動化も可能という段階的な設計になっている。

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レベル1には「1シート(ファイル)に複数の表が掲載されていないか」「スペースや改行等で体裁を整えていないか」「1セル1データとなっているか」「書式でデータの違いを表現していないか」「セルの結合をしていないか」といった項目が含まれる。Harunobuは GitHub(`digital-go-jp/machine_readability_rule`)で公開され、Python や一部のライブラリ等を実行できる環境なら試すことができ、比較的軽量に動作するためデータ処理のシステム等に組み込むことも想定して作られている。内部ロジックは基本的にルールベースの決定論的なロジックで成り立っており、100回採点すれば100回とも同じ結果が返される(AIを補助的に組み合わせて精度を向上させる機能もあるがオプションという位置づけ)。判定結果は、Excelであれば何行目・何列目のどのセルがどのルールに違反したのかがすべて含まれ、AIを含むさまざまなシステムで使いやすいJSON形式で出力される。記事はHarunobuとAIを組み合わせたデータ整備の手順として、(1) Harunobuでルール判定、(2) 判定結果とデータファイルをAIに読ませる、(3) AIに「データを整形するプログラム」を生成させる、(4) そのプログラムを実行、(5) 整形後のデータを検証し必要なら(1)へ戻す、を挙げ、重要なのは三つ目の手順だとしている。AIが直接データを整形するのではなく整形プログラムを介すことで、整形プログラムは決定論的に動作し100回同じファイルを与えれば100回とも同じ整形結果が得られるためだという。なお開発はデジタル庁ファクト&データユニットのエンジニアによる完全内製とされている。

情報源
デジタル庁 note (2026/10/21) / 出典を読む
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制御設計の周辺にも「神Excel」は山ほどあります。I/Oリスト、点検表、部品表、客先提出の試験成績書——セル結合と方眼紙レイアウトの温床です。最初の一歩は、自分が毎年使い回しているI/Oリストか点検記録を1ファイル選び、Harunobuを入れて採点させることです。GitHubで公開されていて、Pythonが動く環境なら無料で試せます。何行目・何列目がどのルールに違反したかがJSONで返るので、「直感的に汚い」ではなく具体的な位置として出てくるのが利点です。次の段階は、その採点結果を使って、AIに整形プログラムを作らせます。ここが記事の肝で、AIにファイルを直接直させず「整形するPythonスクリプトを書かせて、そのスクリプトを走らせる」形にします。同じ種類のファイル(客先ごとのI/Oリストなど)がまとまってあるなら、1本のスクリプトで全部直せるので投資効率が良い。ChatGPTやGeminiの無料枠+ローカルのPythonで、費用ゼロから始められます。3段階目は、整形後のフォーマットを次回以降の雛形にすることです。1セル1データ・セル結合なしのI/Oリストにしておくと、GX Works3へのラベル取り込みや、AIにタグ表のチェックを頼むときの精度がそのまま上がります。むしろここが本当の目的で、過去分の遡及整備は後回しでもいい。注意点を3つ。1つ目、Harunobuが行うのはルールに照らした採点までで、データの整形まではやりません。2つ目、ルール自体は行政が公表するオープンデータを対象として決定されたものなので、社内様式へそのまま義務として適用する話ではなく、使える基準として借りる位置付けにしてください。3つ目、客先提出用の帳票は印刷レイアウトが要件になっていることが多いので、「人が読む印刷用」と「機械が読むデータ用」を2ファイルに分ける割り切りが現実的です。

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